この記事の結論
蔵開きの企画は、①日付と場所の割り振り(3か月前)→ ②出演者と音の決まり(2か月前)→ ③告知と当日の時間割(1か月前)→ ④前日の雨の判断、の順に進めると、当日あわてません。いちばん大事なのは、試飲の列がいちばん長くなる昼の時間帯に「待つ人の楽しみ」を置くことと、帰りの電車の時刻から逆算して終わりの時刻を決めることです。
この記事で分かること
- 3か月前から当日までの段取り表
- 1日のステージの時間割の例(10時開場〜15時半終了)
- 蔵の中・中庭・駐車場のテントで変わる「音の決まり」
- お酒の場ならではの注意(20歳未満・車で来た方・酔いが回る時間)
- 出演者の頼み方と、費用の決まり方
1. 蔵開きは「来る人」より先に「場所」を決める
蔵開きの準備で最初に決めるのは、出し物ではなく、敷地のどこで何をするかの割り振りです。試飲の受付、物販、蔵の見学の列、食べものの屋台、そしてステージ。この5つが同じ通路に重なると、列が交差して動けなくなります。
おすすめは、敷地の図を1枚書き、次の3つに色を塗ることです。
- 人が並ぶ場所(試飲・見学の受付)
- 人が止まる場所(ステージの前・休憩の席)
- 人が流れる場所(入口から出口までの通路)
ステージは「人が止まる場所」に置き、並ぶ列の横に音が届く向きにします。列の正面に置くと、聴く人と並ぶ人がぶつかります。
2. 3か月前からの段取り表
蔵開きの多い1〜3月に開くなら、11〜12月が準備の山です。出演者は2〜3か月前に予定が埋まるため、音楽を入れるなら最初の月に声をかけてください。
| いつ | 決めること | だれが |
|---|---|---|
| 3か月前 | 日付・開場と終わりの時刻/敷地の割り振り/来場の見込み(去年の数字)/音楽を入れるか | 蔵元・広報 |
| 3か月前 | 出演者に声をかける(日付の仮押さえ) | 広報 |
| 2か月前 | 出演の編成と回数/音量の上限と終わりの時刻/雨の日の段取り | 広報・出演者 |
| 2か月前 | ご近所へのあいさつの文面(日時・音を出す時間) | 蔵元 |
| 6週間前 | 告知の開始(蔵のサイト・SNS・観光協会・駅の掲示) | 広報 |
| 1か月前 | 当日の時間割の確定/試飲の受付の流れ/帰りの電車の時刻表の確認 | 広報 |
| 2週間前 | スタッフの役割表(受付・列の整理・ステージ・救護) | 蔵元 |
| 前日の正午 | 雨の判断(屋根のある場所へ移すか、規模を縮めるか) | 蔵元・出演者 |
| 当日 | 開場の1時間前に音の確認/終わったら撤収の時刻まで片づけ | 全員 |
| 翌週 | ふり返り(来場の数・列の長さ・音への声) | 広報 |
蔵のオリジナルソング(蔵の歴史や杜氏の言葉からつくる歌)を初披露したい場合は、仕上げまでに6〜8週間かかります。3か月前の時点でお話を伺う日を決めておくと間に合います(くわしくは蔵開き・酒蔵イベントの音楽のページへ)。
3. 1日の時間割の例(10:00開場〜15:30終了)
お酒の催しは、時間とともに場の空気が変わります。時間割は「人の多さ」と「酔いの回り方」に合わせて組みます。
- 10:00 開場:入口から列に沿って、流しの演奏でお迎え(ギター・アコーディオンなど)
- 11:00 第1ステージ(30分):まだ落ち着いた時間。蔵の紹介と、聴かせる曲
- 12:00〜13:30 試飲の山:列がいちばん長い時間。ステージより、列の横の流しの演奏と「待っている間に一緒に歌える短い一曲」
- 13:30 第2ステージ(30分):蔵の歌の披露や、杜氏のあいさつ
- 15:00 第3ステージ(20分):全員で歌う一曲で締める。終わりの合図を音楽で出す
- 15:30 終了:最寄り駅の電車の時刻に合わせて、帰る人が分散するように
時刻は例です。蔵の開場時間と最寄り駅の電車に合わせて組み直してください。
4. 蔵の中・中庭・テントで変わる「音の決まり」
蔵の中は天井が高く壁が固いので、音がよく響きます。マイクを大きくすると話し声が聞こえなくなり、かえって疲れる場になります。逆に屋外のテントは音が散るので、近所への配慮が必要です。
| 場所 | 合う編成 | マイク | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 仕込み蔵の中 | ギターと歌、弦楽デュオ | 最小限 | 響きすぎ。下見か動画で確かめる |
| 中庭・軒下 | アコースティックのトリオ | 小さく | 列に向けて音を届ける置き方 |
| 駐車場のテント | バンド | 使う | 近所への音。終わりの時刻と音量の上限を先に |
| ワイナリーの畑・テラス | 屋外の小編成 | 小さく | 風と日差し。機材の屋根と予備の電源 |
どの場所でも、決めるのは3つだけです。「音を出してよい時刻(始まりと終わり)」「音量の上限」「苦情が来たときに音を下げる人」。この3つを一枚にして、出演者と蔵のスタッフで同じものを持ちます。住宅に近い蔵では、騒音の決まりが自治体の条例にあるので、心配なときは役所に確かめてください。
5. お酒の場ならではの注意
- 20歳未満の方への試飲の確認:受付で年齢の確認の声かけをします。ステージの司会からも「お酒は20歳になってから」をひとこと
- 車で来た方:「運転される方は試飲をお控えください」を、入口の掲示とステージの司会で繰り返す。運転する人の目印(バッジなど)を配る蔵もあります
- 酔いが回る昼過ぎ:ステージの前が騒がしくなりやすい時間です。聴かせる曲より、手拍子や一緒に歌える曲にし、司会の声かけで場を整えます
- 出演者の飲酒:出番が終わるまで飲まないのが基本。車で帰る出演者は終演後も飲みません。最初の打ち合わせで決めておきます
- 救護:休める日陰の席と水、スタッフの連絡先を決めておく
大人数の前で声を届ける指導の現場では、騒がしい場では音を大きくするより、全員が一度声を出す瞬間をつくる方が早く静まります。手拍子や短い掛け声で一度場をそろえると、その後の曲が届きやすくなります。企業研修で200名のコーラスをまとめるときも、最初にするのは同じことです。
6. 出演者の頼み方と、費用の決まり方
出演者に声をかけるときは、次の6つを先に伝えると話が早く進みます。
- 日付と、音を出してよい時刻(始まり・終わり)
- 場所(蔵の中か、中庭か、テントか。写真があれば1枚)
- 来場の見込み(去年の数字)
- ステージの回数と1回の長さ
- 電源・屋根・控えの場所の有無
- ご予算
費用は「編成の人数 × 拘束の時間 × 回数」に、音響の機材、交通費(遠方の場合)が足されて決まります。蔵のオリジナルソングをつくる場合は、作詞作曲と録音の費用が別に加わります。既存の曲を演奏する場合の著作権の手続きも、主催の蔵と会場で確かめておきます(出演料を払う催しは、入場にお金がかからなくても手続きが要ります)。
音楽ファーストでの料金の目安と、できることの一覧は蔵開き・酒蔵イベントの音楽のページにまとめています。本番が近い場合に間に合うかは、締切の早見表でも確かめられます。
7. よくある質問
- Q. 蔵開きの準備は、いつから始めればいいですか?
-
A. 3か月前から始めると安心です。1〜3月に開くなら、11〜12月に日付・場所の割り振り・出演者の仮押さえまで済ませておきます。
- Q. 音楽は何回くらい入れればいいですか?
-
A. 10時〜15時半の催しなら、30分前後のステージを2〜3回と、昼の試飲の山の時間に流しの演奏を入れる形がおすすめです。
- Q. 蔵の中で演奏しても大丈夫ですか?
-
A. 響きを生かす小編成ならできます。マイクは最小限にし、事前に下見か動画で響きを確かめてください。
- Q. 観光協会として、複数の蔵をまとめて企画できますか?
-
A. できます。蔵ごとに演奏の時間をずらして回る形や、地域の共通の歌をつくる形があります。
- Q. 蔵の歌をCMや動画にも使えますか?
-
A. 使い道を最初に決めて契約書に書けば使えます。広告に使う場合は、CMソング・サウンドロゴの制作のページもご覧ください。
地域の複数の蔵をまとめる場合は地域の音楽フェス・野外ライブの立ち上げ、広告に使う歌はCMソング・サウンドロゴの制作も参考になります。
運営:株式会社エートゥーナンバーレコード(代表取締役社長 田中直人)/BELIEVE YOUR VOICE / あなたの声を、信じていい。
