この記事の結論

歌声喫茶は、次の6つを決めれば始められます。

  1. 会場(ピアノの有無と、20〜40人が座れる広さ)
  2. 伴奏者(ピアノ・キーボード・ギターのどれか1人)
  3. 歌のリーダー(みんなが声を出すきっかけをつくる進行役)
  4. 歌詞の出し方(歌詞カードか、スクリーンに映すか。著作権の手続きを確かめる)
  5. 人の集め方(チラシ・回覧・施設の掲示と、最初の10人)
  6. お金の決め方(参加費・会場代・伴奏者へのお礼)

いちばんつまずきやすいのは2と3、つまり「伴奏できる人」と「歌わせる人」がそろわないことです。ここだけ外の力を借りて、あとは地域の皆さんで回す形が長続きします。

歌声喫茶を始める6つのこと月1回の歌声喫茶①会場②伴奏者③歌のリーダー④歌詞⑤人集め⑥お金②③がつまずきやすい

歌声喫茶とは 「聴く」より「みんなで歌う」場所

歌声喫茶は、伴奏に合わせて、集まった人がみんなで同じ歌を歌う集まりです。コンサートのように聴くのではなく、参加する人が主役です。いまは公民館、介護施設、商店街の空き店舗、カフェなどで、月に1回の「うたごえサロン」として開かれることが多くなっています。

歌う曲は、季節の歌、唱歌、昭和の歌謡曲、フォーク、映画の歌など、参加する世代がみんな知っている曲が中心です。

1. 会場を決める ピアノの有無と「声を出してよいか」

最初に決めるのは会場です。確かめることは4つです。

  • ピアノがあるか(無ければキーボードかギターの伴奏にする)
  • 20〜40人が座れる広さと、椅子があるか(立って歌うより、座って歌う会が続きやすい)
  • 声を出してよいか(隣の部屋の使い方、建物の決まり)
  • 毎月同じ曜日・時間に借りられるか(公民館は予約の時期の決まりがあるので、半年先までまとめて押さえる)

公民館・コミュニティセンター、地域包括支援センターや社会福祉協議会の集いの場、介護施設の食堂、商店街の空き店舗、昼の空いた時間のカフェ・喫茶店がよく使われます。

2. 伴奏者を探す 歌声喫茶の伴奏は、普通の伴奏と少し違う

伴奏者は、ピアノ・キーボード・ギターのどれか1人いれば始められます。ただ、歌声喫茶の伴奏には、普通の伴奏と違うコツがあります。

  • 参加者の声に合わせて、キーを下げられる(年を重ねると高い音が出にくくなるため)
  • 前奏を短くして、すぐに歌い出せるようにする
  • リクエストに、その場で応えられる曲の数を持っている

キーが高すぎると、声が出ない人から来なくなってしまいます。楽譜どおりのキーで弾くより、参加者がいちばん楽に声を出せる高さに合わせる。伴奏者にはこれを最初にお願いしてください。

地域に伴奏できる方がいない、伴奏してくれていた方が辞めてしまった、という場合は、伴奏者を外に頼む方法があります。依頼先の選び方は音楽の依頼先の選び方にまとめています。

3. 歌のリーダーを決める 伴奏者と「歌わせる人」は別にする

伴奏者がいても、みんなが声を出してくれるとは限りません。最初の1曲で声を出してもらうには、前に立って「次はこの歌です。1番だけ、私と一緒に」と声をかける歌のリーダーが要ります。

歌のリーダーの仕事は3つです。

  • 始まりに、座ったままできる呼吸と口の体操で、声を出す準備をする
  • 曲の前に、その歌が流行った年や思い出話をひとこと添える(声を出すきっかけになります)
  • 歌い出しを、少し大きな声で一緒に歌う

伴奏者が歌のリーダーを兼ねると、弾くことで手一杯になりがちです。できれば2人に分けてください。

4. 歌詞の出し方と、著作権の確かめ方

歌詞は、大きな文字の歌詞カードを配る形か、スクリーンに映す形が一般的です。どちらも、参加する世代に合わせて文字を大きくし、1曲を1枚(1画面)に収めると歌いやすくなります。

気をつけたいのが著作権です。歌詞を印刷して配る、スクリーンに映す、会で演奏する、といった使い方は、曲によって著作権の手続きが要る場合があります。手続きは、会を開く主催者が行うものです。

  • 歌う曲の作詞者・作曲者と、その曲が管理団体(JASRAC など)に預けられているかを確かめる
  • 会場(公民館・施設・お店)がすでに手続きをしているかを、会場に聞く
  • 分からないときは、管理団体の窓口に問い合わせる

この記事は手続きの流れの案内です。実際の手続きの要・不要や方法は、曲と会の開き方によって違うため、管理団体(JASRAC など)にお問い合わせいただけます。音楽ファーストは手続きの代行はしていません。

5. 人を集める 最初の10人と、2回目に来てもらう工夫

最初から大勢を集めようとしなくてかまいません。最初の10人が「楽しかった」と次に誰かを連れてきてくれるのが、いちばん確かな集め方です。

  • チラシ:日時・会場・参加費・「歌詞カードがあるので、知らない歌でも歌えます」の一文・申し込み先(電話か、受付で当日参加できるか)
  • 置く場所:公民館の掲示板、自治会の回覧、地域包括支援センター、病院・薬局の待合、商店街のお店
  • 声かけ:民生委員、老人クラブ、合唱やカラオケのサークルの方に直接
  • 2回目に来てもらう工夫:終わりに「来月はこの歌を歌います」と次の回の1曲を発表し、リクエストの紙を集める

6. お金の決め方 参加費・会場代・伴奏者へのお礼

歌声喫茶のお金は、出ていくお金と入ってくるお金を月ごとに並べて決めます。

  • 出ていくお金:会場代、伴奏者・歌のリーダーへのお礼(または依頼の費用)、歌詞カードの印刷、お茶とお菓子、著作権の手続きが要る場合はその費用
  • 入ってくるお金:参加費、自治体・社会福祉協議会の地域の活動への補助(地域によって制度が違うので、市区町村の窓口に確かめる)、お店で開く場合は飲み物の売上

参加費は「出ていくお金÷見込みの人数」から決め、最初の3回は少なめの人数で計算しておくと赤字になりにくくなります。

歌声喫茶のお金の考え方(1回分)出ていくお金会場代伴奏者・リーダーへのお礼歌詞カード・お茶手続き(要る場合)入ってくるお金参加費地域の活動への補助飲み物の売上(お店)金額は会場・地域で違うため、図には入れていません

伴奏者と歌のリーダーを外に頼む場合の費用は、回数と会場で変わります。音楽ファーストの目安は、小規模15万円〜・中規模50万円〜・大規模100万円〜(税別)です。

7. 90分の進行の例

  • 0〜10分 受付・おしゃべり(伴奏者が懐かしい曲を小さく弾いて迎える)
  • 10〜20分 声と体の準備(座ったままの呼吸と口の体操)
  • 20〜45分 季節の歌・みんなが知っている歌を5〜6曲
  • 45〜55分 お茶とおしゃべり(次回のリクエストを集める)
  • 55〜80分 リクエストの曲と、今月の新しい1曲
  • 80〜90分 締めの1曲と、来月の日にちのご案内

声の準備の10分は省かないでください。いきなり歌い始めると、高い音が出ずに「今日は声が出ない」と感じて、次から来なくなる方がいます。息をゆっくり吐く、口を大きく開け閉めする、低い音から少しずつ高くする。ボイストレーナー歴30年、延べ5万人以上を指導してきたたーなー先生も、この順番で声を起こしてから歌うことをすすめています。

8. 続けるコツ 「毎回同じ曲」にしない3つの仕組み

歌声喫茶は、始めることより続けることのほうが難しい集まりです。続けるための仕組みを3つ用意しておきます。

  • 1年分の選曲表:季節の歌・唱歌・歌謡曲・フォーク・映画の歌を、月ごとに組み合わせておく
  • 今月の新しい1曲:毎月1曲ずつ新しい歌を覚える。「来月も来よう」の理由になります
  • 参加者の声の記録:人数とリクエストの多い曲を記録しておく。自治体や社協の事業として開く場合は、そのまま報告に使えます

そして、伴奏者が辞めたときに会が止まらないように、伴奏できる人を2人にしておくか、頼める先を1つ持っておくと安心です。聴くコンサートを施設で開きたい場合は病院・介護施設のコンサートもご覧ください。

伴奏者と歌のリーダーが見つからないときは

会場とお金は地域で決められても、「伴奏できる人」と「みんなを歌わせる人」は、なかなか見つかりません。会場と開きたい曜日をお知らせいただければ、伴奏者と歌のリーダーについてご相談を承ります。

会場と開きたい曜日を伝えて相談する

よくある質問

歌声喫茶は何人から始められますか?

10人ほどでも始められます。最初は少人数で始め、参加した方の口コミで増やしていく会が多くあります。

伴奏者がいなくても、音源を流せば開けますか?

開けますが、キーを参加者に合わせて下げる、リクエストにその場で応える、といったことが難しくなります。音源を使う場合も、音楽の手続きが要るかは会場と管理団体に確かめるのがおすすめです。

歌詞カードは自分たちで作ってもいいですか?

曲によっては著作権の手続きが要る場合があります。主催者が管理団体(JASRAC など)や会場に確かめてから作ってください。

介護施設で開くときに気をつけることは?

座ったまま歌える進め方、ゆっくりのテンポと低めのキー、休憩を多めにすることです。施設の職員の方と、体調の合図を先に決めておくと安心です。

伴奏者と進行役を頼むと、いくらかかりますか?

会場・回数・編成で変わります。音楽ファーストの目安は、小規模15万円〜・中規模50万円〜・大規模100万円〜(税別)です。

この仕事を相談する