この記事の結論

音楽レクは、毎回の流れを「あいさつ→声と体を温める→季節の歌→みんなが知っている歌→リクエスト→締めの歌」の6つの段に決め、段ごとに職員が言う一言を台本にしておくと、歌が得意でない職員でも同じように進められます。曲は原曲より低い高さにそろえ、月ごとの曲表を作っておけば、選曲で迷う時間とマンネリの両方が減ります。

この記事は、デイサービス・特養・グループホームなどで音楽レクを担当している職員の方に向けて、明日から使える「30分の型」の作り方をまとめたものです。書いているのは、ボイストレーナー歴30年・延べ5万人以上を指導してきたたーなー先生のいる、音楽ファーストの制作チームです。

1. 音楽レクが「担当の人しだい」になってしまう3つの理由

  1. 流れが決まっていない:毎回その場で曲を選ぶので、担当の人の得意・不得意がそのまま出ます。
  2. 高さが合っていない:CDや動画の原曲のままだと、高い所で利用者の方も職員も声が小さくなります。
  3. 曲を選ぶのに時間がかかる:前日に曲を探し、歌詞カードを作り直す手間が担当の人に集まります。

どれも「型」と「曲表」を先に作っておけば、担当がだれでも同じように進められるようになります。

2. 30分の型|6つの段の時間割と、職員が言う一言

音楽レクの「30分の型」12 温める3 季節の歌4 知っている歌5 リクエスト6 締め2分4分8分8分5分3分1 あいさつ:日付と季節の話 / 6 締め:毎回同じ1曲で終わる分数は例です。施設の時間に合わせて3と4の曲数で調整します。

1)あいさつ(2分)

今日の日付・季節・天気の話から入ります。声かけの例:「今日は○月○日、外は○○ですね。今日も一緒に歌いましょう」

2)声と体を温める(4分)

深呼吸を2回、肩を回す、手拍子、口を閉じたままのハミング。いきなり歌い出さず、声を出す準備の時間を作ります。声かけの例:「まずは大きく息を吸って……ゆっくり吐きましょう」

3)季節の歌(8分)

その月の曲表から2曲。季節の話題とつなげると、歌い出しやすくなります。声かけの例:「○月といえば○○ですね。○○の歌を歌いましょう」

4)みんなが知っている歌(8分)

多くの方が口ずさめる歌を2曲。ここで声がいちばん大きくなるように並べます。

5)リクエスト(5分)

利用者の方から1曲。曲表の中から選んでいただく形にすると、職員が知らない曲で止まることがありません。

6)締めの歌(3分)

毎回同じ1曲で終わります。「この歌が流れたらおしまい」という合図になり、次の予定へ移りやすくなります。

分数は例です。施設の時間(20分・40分など)に合わせて、3と4の曲数で調整します。台本は1枚の紙にまとめてレクの場所に置いておくと、急な担当の交代でも同じ流れで進められます。

3. 原曲の高さのままにしない|キーを下げる考え方

多くの曲は、原曲の高さのままだと、いちばん高い所で声が出にくくなります。歌い手のために作られた高さだからです。音楽レクでは、利用者の方の多くが「無理なく出せる高さ」にそろえるのが基本です。

  • 高い所で声が小さくなる、顔をしかめる方が多い曲は、高さを下げる候補
  • 速さも少しゆっくりめにすると、歌詞を追いやすくなる
  • 下げる幅は曲によって違うため、施設の利用者の方の声を聞きながら決める

体調や飲み込みなど、利用者の方お一人おひとりへの配慮は、施設の看護・介護の方の判断が優先です。

4. 季節の曲表の作り方(月2曲+いつもの歌)

曲表は、月ごとに「季節の歌2曲」と「いつもの歌(みんなが知っている歌・締めの歌)」を分けて書くと、毎月の準備が季節の2曲だけで済みます。曲名の例は、昔から歌われている唱歌などから挙げました。

月 季節の歌の例 話題のきっかけ
1月 お正月 初詣・おせち
3月 春の小川 ひな祭り・卒業
4月 朧月夜 桜・入学
5月 茶摘 八十八夜・新茶
7月 我は海の子 海・夏休み
10月 紅葉 紅葉狩り・運動会
12月 冬景色 年の暮れ・大掃除

残りの月は、施設で埋める欄として空けておきます。いつもの歌の欄には、締めの歌1曲(毎回同じ)と、みんなが知っている歌6〜8曲(2曲ずつ順番に回す)を書きます。

  • 利用者の方に「子どものころに歌った歌」を聞いて書き足す(施設ごとに違う曲表になってよい)
  • 同じ曲を何週続けて使ったかを表の横に書き、3週以上続いたら入れかえる
  • 歌詞カードは大きな文字で1曲1枚にし、季節の曲は月ごとの袋に分けておく

施設の中で歌う・流す場合と、歌詞カードを配る場合、動画や広報に使う場合では、著作権の扱いが変わります。配る・載せる前に確かめるのがおすすめです。

5. マンネリを防ぐ4つの工夫

  1. 締めの歌だけは変えない:変えるのは季節の2曲とリクエスト。毎回の安心と、毎月の新しさを分けます。
  2. 手拍子と簡単な打楽器:鈴やタンバリンを数人に配り、2番だけ鳴らしてもらいます。
  3. 歌う前に一言の思い出話:「この歌、どこで歌いましたか?」と1人に聞いてから歌います。
  4. 施設の歌をつくる:施設の名前や窓から見える景色を入れた短い歌を、締めの歌にします。

6. 音楽療法とはどう違う?

この記事で紹介した音楽レクは、毎日のレクリエーションの歌の時間を楽しく続けるための進め方です。資格をもつ専門職が目的を立てて行う音楽療法や、機能訓練とは別のものです。

7. 行事に生演奏や歌い手を呼びたいときは

クリスマス会や新年会などの行事に、生演奏や歌い手を呼びたい場合は、病院・介護施設の季節の音楽会のページをご覧ください。聴く時間と、みんなで歌う1曲を組み合わせた形をご案内しています。施設のオリジナルの歌づくりのご相談もお受けします。料金の目安は、小規模15万円〜・中規模50万円〜・大規模100万円〜(税別)です。

施設の行事の音楽を相談する

よくある質問

歌が苦手な職員でも、音楽レクを進められますか?

進められます。音楽レクで大事なのは上手に歌うことではなく、同じ流れで迷わず進めることです。6つの段の台本と、低めの高さの音源があれば、声を張らずに進められます。

音楽レクは何分くらいがよいですか?

この記事では30分の型を紹介しました。施設の時間に合わせて、季節の歌とみんなが知っている歌の曲数で20分にも40分にも調整できます。

原曲のキーが高いときは、どうすればいいですか?

利用者の方の多くが無理なく出せる高さに下げます。高い所で声が小さくなる曲が下げる候補です。どれだけ下げるかは、施設の利用者の方の声を聞きながら決めます。

ピアノが弾けなくても進められますか?

進められます。CDプレーヤーやスピーカー、タブレットで音源を流せば始められます。

毎回同じ曲になってしまいます。

締めの歌は変えずに、季節の歌を月ごとに2曲入れかえる曲表を作ると、準備の手間を増やさずに新しさを出せます。3週以上続いた曲は入れかえる目安にします。

この仕事を相談する